小売業界とは、生産者や卸売業者から商品を仕入れて、消費者に販売する業界です。身近なお店ではスーパーやコンビニなどが小売業界に該当します。
2022年、小売業界はどのようなビジネス形態がトレンドになるのでしょうか。基本的には2021年までと同様にテクノロジーの進化に合わせて、新しい技術を取り込みながら利益をいかに追求していくことができるのかを考える企業が多いと予測されます。
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2020年から2021年の小売業界
2020年から2021年にかけてコロナウイルス蔓延により、政府は緊急事態宣言を発令しました。このような状況下において、対面での接触を極力減らさなければいけなくなったので、全体的にオンラインでの買い物が一気に増えています。
これまではオンラインの買い物に消極的だった高齢者層まで、積極的に活用するになったのです。緊急事態宣言が解除されてからも外出自粛要請によりオンライン上での買い物は続き、今もなお市場規模は拡大し続けているのが現状です。前年と比べると2桁以上の成長を遂げた企業もあります。
特徴①EC売上上位は大型家電量販店
経済省の調査結果によると、2020年度のEC売上上位は大型家電量販店であることが分かりました。上位を占めた商品は生活家電やデバイス機器、衣類、服飾雑貨、インテリア雑貨があります。
特に著しく伸びたのは、デバイス機器です。接触を減らすために多くの企業で導入されたテレワークの影響により、デバイス機器を購入することが増えました。こうした商品を多く取り扱う大型家電量販店の売上上位を占め、Amazonや楽天など大型ショッピングモールでも多くのシェアを誇っています。
特徴②SaaSサービスが大幅に拡大
2020年から2021年にかけてSaaSサービスが大幅に普及しています。SaaSサービスとは、サービス提供事業者側のサーバーで稼働しているソフトウェアをネットを介して利用するサービスのことです。コストを抑えて導入できることに加え、場所や時間を問わず利用できるメリットがあります。
この時期はテレワークが普及したので、場所や時間を問わず利用できるSaaSサービスの導入が一気に増えたのです。SaaSサービスには、Shopify・Makeshop・BASE・STORESなどがあります。今後も需要は大きく拡大していくと考えられます。
特徴③店舗の役割が大きく変化
オンラインでの買い物が増えたことにより、2020年から2021年にかけて実店舗の役割が大きく変わりました。従来はECサイトと実店舗は分けて考えられていましたが、2020年を機にOMOの概念が必要とされ始めたのです。
OMOとは、「Online Merges with Offline」の略でネットと実店舗の垣根を超えたマーケティング手法のことです。商品やサービスに直接触れられる顧客体験を最大化させる目的があります。ECサイトと実店舗において、いかにOMOをうまく活用できるかが重要なポイントとなっているのです。
【小売業界のトレンド予測】AI予測
AIとは、計算とコンピューターの技術から知能を研究する分野のことです。
2001年、「A.I.」という人型ロボットと人間模様を描く映画が世界的に大ヒットしましたが、あれから20年経った今では、iPhoneのSiriのように、すでに映画の世界が実現されつつあります。
小売業界では、AIを使って商品の需要を、データをもとに予測するという使い方があります。これによって在庫リスクを低下させることが可能で、効率のいい小売業をおこなえるようになります。
【小売業界のトレンド予測】ダイナミックプライシング
ダイナミックプライシングとは、需要と供給から商品の価格を変動させることです。
昔から、小売業界ではすでにダイナミックプライシングがおこなわれています。夕方になると、その日に売れ残ったお弁当に半額シールを貼って在庫処分するのは、まさにダイナミックプライシングです。
今は手作業によるダイナミックプライシングが主流な中、今後はモバイルやオンラインなど、その方法が増えてくると予想されます。その結果、今以上にリアルタイムな需要と供給の状況を把握して、素早く価格変動を消費者に伝えることができるようになるでしょう。
【小売業界のトレンド予測】第2のキャッシュレス決済
キャッシュレス決済とは、クレジットカードや電子マネーなどの決済方法を導入することです。
日本国内では、2019年の10月1日から「キャッシュレスポイント還元事業(キャッシュレス消費者還元事業)」という政策がおこなわれましたが、2020年の6月で終了しました。
主に中小企業を中心に、キャッシュレス決済を導入した小売事業者は増えたとされていますが、キャッシュレス決済を導入するための手数料が高いことから、国が掲げているキャッシュレス決済比率40%の目標には到達していません。
この政策は2017年の未来投資戦略で設定されましたが、2025年に開催予定の大阪関西万博まで継続される予定です。
小売業界からすると、多くの決済手段が次々と登場する中、消費者が使いたいと思う手段の選定が悩ましいはずです。需要と供給とコストの三角関係に加えて、各決済手段の還元率の変化もあることから、世間的にも安定した決済手段というものがなかなか決まりません。
キャッシュレス決済を導入したいのは当然ながらも、もう少し様子を見てみたいという企業も多く、キャッシュレス業界の動向に注目しておく必要がありそうです。
【小売業界のトレンド予測】顔認証システム
顔認証システムとは、人の顔で認証することができるシステムです。
技術開発は昔からおこなわれており、日本メーカーだとNECは1990年から研究開発をしています。
認証システムは「指紋認証」や「声紋認証」などさまざまなシステムがあるわけですが、顔認証はカメラを設置すれば導入可能であり、両手がふさがっていても認証できるなど、ほかにはない独自のメリットがあります。
逆にマスクをしていると認証できなかったり、個人を特定されやすいなど、技術的な課題も多いです。
今後、顔認証システムはまだまだ進化を遂げていくことになりますが、キャッシュレス手段との連携で両手を使わずに決済することがスタンダードになる日もそう遠くはないかもしれません。
【小売業界のトレンド予測】無人店舗
無人店舗とは、店内に販売員を配置せずに商品やサービスを販売する形態です。
2021年時点においてはコンビニを筆頭に無人店舗をおこなっている小売事業者がちらほらある状況で、トレンドになるほど普及はしていません。
中小企業にとっては無人店舗でお店を営業したくてもできないというのが本音で、大手の小売事業者の成功がトレンドの鍵になりそうです。
日本は世界的にも安全な国なので、セキュリティ面はまだしも、お店にやってきた消費者に接客しなければ売上低下の可能性もあるわけで、これに対するリスクを懸念する事業者はまだまだ多いでしょう。
「AIに仕事を奪われる」という時代がいずれはやってくると予想されているのがいい裏付けですが、将来的に小売業界のビジネスモデルのトレンドになる可能性が高いため、関連情報は小まめにチェックしておきたいですね。
【小売業界のトレンド予測】販売員のスキル向上
人件費を削減する方法は無人店舗だけではなく、AIを店内に配置することでも可能です。
この場合、販売スタッフの数は従来よりも少なくなるため、スキルの高い販売員が重宝される状況となります。
それを見越して今の段階から販売員の能力向上に力を入れておくのもいいでしょう。
社員教育はトレンドというよりも常識という表現のほうがピッタリですが、今後は人対人ではなくAIとの競争も考えていかなければなりません。
【小売業界のトレンド予測】オンラインオーダー
消費者は小売業界に対して、注文から商品受取までのスピードをさらに求めるようになります。
これはスマホが普及していることが大きな理由ですが、ECサイトで注文できることが当たり前になっているため、そこからいかに早さを提供できるのかを考える必要があります。
ECサイトで完結するなら配送スピードですが、店舗の場合はオンラインで注文して店頭で受け取るという方法が効果的です。
この場合、店舗に在庫があるなら当日に商品を受け取ることができ、しかもわざわざお店に商品の有無を確認しに行く必要もないため、消費者にとっては非常に便利ですね。
【小売業界のトレンド予測】RaaS
Raas(Retail as a Service)とは、ECサイトに対して、店舗とデータあるいは店舗営業を提供するサービスです。
簡単に説明すると、オンラインで商品を販売している企業に対して、その商品を実店舗で販売あるいは体験できる環境を丸ごと提供することをRaaSといいます。
アメリカの「b8ta」が有名であり、このサービスでは、オンラインで販売されている商品を店舗で試してから購入することができます。
ECサイトからすると、その店舗や環境などを月単位など期間を区切って利用することもできるため、様子を見ながら実店舗のオープンを検討できるメリットがあります。
店舗を持たないオンラインの小売事業者は、注目しておきたいビジネスです。
【小売業界のトレンド予測】ほかにはないアイデア
小売業界は、商品の価格と商品の質、あるいは商品数などで集客を考えます。
その結果、経営が黒字なのであれば成功なわけですが、そこからさらに集客率を伸ばそうと思ったときに必ず何かしらのアイデアが必要です。
たとえば、コンビニの店内が水族館になっていたらどうでしょうか。消費者は商品を買うためにお店に行きますが、店内に入ると当初の目的を忘れるほどのインパクトがあり、商品を購入できた上に楽しむこともできたという大きな満足感を得られます。
とても極端な例ですが、ほかにはないアイデアを考え続けることは小売業界にとって永遠のテーマでもあり、この路線でビジネス戦略を考えることは2021年もトレンドです。
まとめ:【担当者必見】2022年加速するであろう小売業界のトレンド予測9選をご紹介
2021年は、コロナウイルスによってすでに倒産している企業もあり、小売業界を全体で見てもトレンドを考える以前に、現状維持の経営方針で今をいかに生き残るのかを優先しなければならない状況でもあります。
2022年にこうなるであろうと予測されるビジネスのトレンドは、2023年あるいは2024年になってようやく実現されるものであるかもしれません。
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