インターネットの普及により、日本国内外の人がショッピングを楽しめる時代になってきました。こうした状況を踏まえて、越境ECという国際的な電子商取引を積極的に取り入れる日本の小売店が増えてきています。
では、アパレル業界における、越境ECの現状と中国人を始めとしたインバウンド関連の課題に加えて、成功事例を説明したいと思います。
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越境ECとアパレル業界
日本で事業展開をする時、少子高齢化という事情もあり、外国人によるインバウンド需要が鍵を握ってきます。その客層は、隣国となる中国人が際立っており、2017年度において総額1兆円以上の収益があるほどです。
日本のアパレル業界においても、大手企業を中心に越境ECを展開するところは増えてきています。繊研新聞社が2017年9月に発表したEC売上高調査によると、企業対消費者向け取引におけるEC市場規模は、約8,300億円となりました。これは、国内ファッション市場に占めるネットショップ販売比率の8.6パーセント程度に相当します。
日本が主に国際的な取引相手となる、中国人のインバウンドに目を向けてみましょう。主に購入した日本製品には、日用品や化粧品、家電製品の他、子供向け衣料品が目立ちますが、ファッション分野における購入実績に乏しい実情があります。
日本国内にあるファッション向け店舗があまり注目されない他、日本企業も出店している中国国内向けECサイトでの知名度が低いことが要因でしょう。日本以外の世界各国の企業が数多く参入している中で、いかにして中国人に日本のファッションブランドが魅力的かをアピールすることが重要となってきます。
アパレル業界での牽引役から多くの展開方法を学ぶ
公式サイト ゾゾタウン
日本国内で越境ECを展開するアパレル業界の企業では、ゾゾタウンが頭一つ抜きに出ています。2018年3月期の商品取扱高が2,629億円と、右肩上がりに成長している原動力としては、ネットに関心が強い若年層向け市場を開拓したことが、最大の特徴です。
約1,300店舗という新規ショップに加え、特定ブランドの商品が割安で購入できるクーポンの導入、古着市場にも参入するなど、若い人に見合った市場展開を行っています。本来の顧客層となる30代後半から40代に加え、20代の顧客をも取り入れることで、年代に見合った売り場展開ができるようになったことも、売上増加に貢献していると言えるでしょう。
ゾゾタウンで注目するべきサービスは、2016年11月に開始した会員向けサービスの「ツケ払い」というものがあります。最大2ヶ月後の支払いが可能となる金融サービスとも言えるものです。これにより、30歳代のアクティブ会員が多い中、20歳前後の顧客を取り入れることに成功しました。
衣料品系ECで頻繁に行われているセールイベントにおいては、開催日をファッション実売期の5月と11月に設定しています。米国におけるブラックマンデーなどは、世界規模での売上高が高いことから、こうしたイベントによる売上低下を避ける意味合いも持ちます。
さらに、割引率の異なるクーポンを1日に何度でも使えるようにする仕組みを導入した他、ツイッターを活用したキャンペーンなども定期的に実施しています。こうしたゾゾタウンの取り組みは、他の会社が越境ECを展開するのにおいて、参考になる事例と言えるでしょう。
【越境EC】アパレルを売るためのおすすめのサイト
日本製のアパレルブランドは海外でも信頼度が高いので、越境ECを導入することで世界中のお客様に自社商品を販売できます。ただ、海外に販売経路を広げる場合は、越境ECに対応するサイトを見つけなければいけません。
アパレルを売るためのサイトには、次のようなものがあります。
- 【中国】Tmall 天猫
- 【中国】Vip.com 唯品会
- 【中国】JD.com 京東商城
- 【中国】HKTVmall(網上購物)
- 【台湾】PChome 24h
- 【台湾】momo購物網
- 【台湾】Yahoo!奇摩
- 【東南アジア】Lazada
- 【東南アジア】Shopee
- 【東南アジア】Lazada Thailand
- 【東南アジア】 Lazada
- 【欧米】ebay
- 【欧米】Amazon
- 【欧米】メルカリ
- 【韓国】G-market
それぞれの特徴を確認していきましょう。
おすすめ①【中国】Tmall 天猫
中国版のAmazonと言われるほど、国内で知名度の高いサイトです。2014年にはニューヨーク証券取引所で上場しており、世界的にも高い知名度を誇ります。店舗数は累計7万店を超えており、中国最大級のECプラットフォームです。
サイト内は、日本製品に注目が集まる傾向があるので越境ECを導入したい企業に適しています。ユニクロや三越、伊勢丹、ミキハウスなど日本の大手アパレルブランドも参入しているのも特徴です。
おすすめ②【中国】Vip.com 唯品会
女性をターゲットにした商品を多く取り扱っているなら、Vip.comがおすすめです。会員数が2億人以上を誇り、多くの若い女性がサイト内で洋服やアクセサリーなどの買い物しています。また、取り扱う商品はメーカーから直接仕入れをしているため、ユーザーとの信頼を獲得しているのも特徴です。
万が一、商品に偽物があった場合は全額保証されるサービスもあるので、安心感からリーピート率が高いのも大きな魅力でしょう。さらに、定期的にセールを実施しているので、新規顧客を獲得するための施策も積極的に行われています。
おすすめ③【中国】JD.com 京東商城
中国内で第2の規模を誇るのが、JD.comです。2015年に日本製品専門サイト「日本館」を開設しており、サイト側は日本企業参入に力を入れていることが分かります。また、国際物流を手がけるヤマトグローバルロジスティクスジャパンが、JD.com と提携しているのも特徴です。
日本企業が参入すれば、出品や出店する際には注文や配達までサポートしてくれます。初めて参入する方でも安心して出店できるのも魅力です。元々は家電製品を取り扱う商品でしたが、アパレル商品はもちろんのこと様々な商品を扱っています。
おすすめ④【中国】HKTVmall(網上購物)
韓国在住者向けのECサイトで、香港で最大規模を誇ります。2017年時点の登録会員数は415万人を超えており、多くの人が利用しています。一般的には、食品や日用品、家電製品などスーパーにあるような商品を多く取り扱っているのが特徴です。
主婦層をターゲットにするアイテムを扱っているなら、このようなサイトを活用するのもいいかもしれません。実店舗も多数持っており、オンラインとの相乗効果を狙ったマーケティングも活発に行われています。
香港周辺の知名度を上げたいなら、参入を検討してみましょう。
おすすめ⑤【台湾】PChome 24h
家電製品を多く取り扱うサイトで、台湾では最大規模を誇る150万点以上のアイテムを販売する巨大ECショッピングサイトです。
サイト内の商品は自社倉庫で管理されているので、商品を購入すると24時間以内に届くシステムになっています。18時までに商品を購入すると、翌日の12時までに手元に届くといったスピード感のある配送サービスを提供しているのも魅力です。
スピードを重視する方も多いので、台湾への参入を考えるなら検討するのがいいかもしれません。
おすすめ⑥【台湾】momo購物網
携帯キャリアや銀行を持つ富邦グループが運営するECショッピングサイトです。アパレルをはじめ、化粧品や生活用品など、女性をターゲットにした商品を多く取り扱っており、24時間限定のお得なセールを定期的に実施しています。
基本的に24時間以内で配送されるので、スピード感のある配送を重視する企業におすすめです。また、近年は台湾国内だけでなく、中国への配送も開始しておりマーケットを広げています。
おすすめ⑦【台湾】Yahoo!奇摩
日本でもよく知られているYahoo!JAPAN台湾版のECショッピングサイトです。
Yahoo!奇摩は、「BtoC/BtoBtoC/CtoC」の3業態でビジネスを展開しているのが大きな特徴です。特に、CtoCでは月間1000 万ユーザーが登録しています。
女性の利用者が多く、アパレルやコスメの商品が多く売れています。女性をターゲットにした商品を多く取り扱っているなら、Yahoo!奇摩への参入を検討してみてはいかがでしょうか。
おすすめ⑧【東南アジア】Lazada
東南アジア6カ国で展開する巨大ECショッピングモールです。東南アジアでは第2位を誇る巨大ECショッピングモールなので、東南アジアに販売経路を広げたいなら参入を検討するのがおすすめです。
また、ファッションアイテムの販売率は取り扱い商品の中でもっとも高いので、アパレル会社との相性はばっちりです。中国のアリババグループが経営権を獲得しているので、アリババのユーザーを新たな顧客にできる可能性があります。
おすすめ⑨【東南アジア】Shopee
Lazadaより、東南アジアでトップの売り上げを誇る巨大ECショッピングモールです。2015年にサービスを開始しましたが、およそ2年間で上場するほど急激に人気が高まったモールになります。
対象国は、シンガポールや台湾、インドネシア、ベトナムなど東南アジアが中心ですが、今後は日本も加わるといわれています。認知度の高いECモールに参入したい方にぴったりのサービスです。
おすすめ⑩【欧米】ebay
世界190カ国で展開する、世界最大級のインターネットオークションサイトです。米国を中心に世界各国に販売経路を広げられるので、世界中で自社商品を販売したい企業に適しています。
また、オークションサイトではあるものの、ショッピングにも対応しているのでアパレルの販売にも最適です。販売価格もAmazonより安いので、若年層のユーザーが多いのも特徴です。ただし、AmazonよりCtoC要素が少し強いかもしれません。
おすすめ⑪【欧米】Amazon
米国を中心に世界15カ国で利用されている世界最大級のECサイトです。米国のEコマース売り上げの50%を占めており、アメリカ人の5人に1人がAmazonを利用していることが分かります。
何か商品を探している・・・といったユーザーはAmazonを探す方も多いです。米国中心に販売経路を広げたいのであれば、必ず押さえておきたいECサイトと言えるかもしれません。Amazonでは数億種類のアイテムを取り扱っており、今後も会員数は増える傾向にあります。
おすすめ⑫【欧米】メルカリ
スタートアップ企業が生み出したメルカリは、日本に馴染みがあるフリマサイトです。ただ、実はアメリカでもシェアを伸ばしており、2016年時点では、日本と米国を合わせると4,000万のアプリダウンロード数を突破したと報告されています。
出品されているアイテムもアパレルはもちろんのこと、子供のおもちゃや生活用品など、さまざまな商品が販売されています。日本と米国の両方の市場を抑えられるので、日本国内だけでなく米国にも販売経路を広げたい方に最適です。
おすすめ⑬【韓国】G-market
月間訪問者数が2,200万人を超える、韓国最大のショッピングサイトです。化粧品やファッション、生活用品、旅行のアクティビティ予約など、さまざまな商品を取り扱っています。韓国にとどまらず、多くの国で商品やサービスの売買が行われています。
規模が大きいので韓国に販売経路を広げたい方に適していますが、審査が厳しいといわれています。また、対応言語は英語や韓国語、中国語だけになるので進出が難しいと感じる企業が多いようです。
【越境EC】アパレルの売上アップにつながる4つのポイント
日本と海外では売れるポイントが異なることが多いので、日本と同じように販売すると「まったく売れない・・・」といったことが起こりがちです。そこで、越境ECを導入するにあたり押さえておきたいポイントには、次のようなものがあります。
- 対象国の好みに合わせる
- 商品説明の文字量に注意する
- SNSをうまく活用する
- アプリの導入を検討する
それぞれの項目を確認していきましょう。
ポイント① 対象国の好みに合わせる
海外に向けて売れる商品を販売したいなら、対象国の好みに合わせることが大切です。例えば、日本では可愛らしいデザインで露出を抑えたものが好まれる傾向があります。ただ、アメリカでは女性らしさを強調した洋服が好まれがちです。
日本で好まれるデザインをそのまま反映してしまうと、まったく売れない可能性があるので十分に注意しなければいけません。対象国が広い場合は、シンプルなデザインにするのも方法です。
ポイント② 商品説明の文字量に注意する
海外に向けて商品を販売する場合、より詳しく商品情報を記載する必要があります。ただ、自社内に英語が得意な社員がいない場合は、説明文がぎこちなくなることもあります。
これでは、逆に不信感を抱かせる原因になることも多いです。また、米国では長い説明文は好まれないことがあるので、文字量には注意して商品説明を記載するようにしましょう。
ポイント③ SNSをうまく活用する
近年は、インスタグラムやフェイスブックなど多くのSNSが存在しています。利用者も多いので、毎日たくさんの時間を費やしているユーザーも少なくありません。そのため、単にECサイトに出店するのではなく、SNSを活用して少しでも多くのユーザーに情報を届けるようにしましょう。
SNSからブランドの存在を知って、ECサイトで購入に繋がることもあります。特に、海外のユーザーにアプローチする方法は限られているので、SNSを活用するのが最適です。
ポイント④ アプリの導入を検討する
ECサイトの売り上げを向上したいなら、アプリの導入も検討しましょう。近年はスマホの普及率が高まっているので、スマホのアプリから買い物するユーザーが増えています。アプリからの流入が増えるので、売り上げ向上に繋がることも多いです。
また、アプリには通知機能があるので、セールなどお知らせしたい情報があったときにユーザーと接触を持つことができます。ECサイトに誘導して、購入してもらえる機会も増えるので、アプリを導入するのがおすすめです。
増え続けるアパレル業界のEC参入
日本の衣料品系ブランドが世界規模で注目されている他、2017年の段階で、アパレル業界におけるECの割合が11パーセントにまで伸びています。
国内の少子高齢化とインバウンド需要により、越境ECを取り入れる企業は今後も増えると予想されます。ゾゾタウンのような事例は、企業独自のアパレルECを構築するためにおいて手助けになると思います。
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