2020.1.6

日本から中国への越境ECの始め方と中国市場の特徴、成功事例を解説

日本からの越境EC(海外向けのインターネット販売)市場の中でも、特に中国向けの越境ECに注目が集まっています。

そこで今回は、「どのように中国への越境ECを始めればよいのか」「中国越境EC市場の特徴」などを、最近のトレンドや成功事例と合わせてご紹介します。

越境ECを構築する前に押さえておきたいポイント

中国向けの越境ECが爆伸びしている要因には、「日本の店舗での爆買いが落ち着き、越境ECへとシフトしている」という点があげられます。

中国に向けた越境ECの需要は年々高まっている

中国人による爆買いの風向きは、2019年1月に「中国電子商取引法(中国EC法)」が施行されたことで一変していきます。この法律は、中国政府より「越境ECを健全化するため」に作られました。

具体的には、これまでは対象にならなかった越境ECで販売する商品が一般貿易扱いになり、商品に必要な申請や認証の取得が義務付けられようになりました。違反した者には最大200万元(約3200万円)の罰金が科されたのです。

また、通関時にEMS(国際スピード郵便)の開封チェックが厳しくなったことも重なり、グレーゾーンでビジネスを手掛けていた中国の個人代行業者が事業を継続できなくなりました。これまで課税を逃れていたバイヤーたちは今ではほぼ全滅しています。

これらの傾向から、日本から中国に向けた越境ECの需要は年々高まっており、今後は日本のメーカーが中国での越境ECを行いやすくなるでしょう。

越境ECでほとんどの日本製品は手に入る

以前は、来日して日本製商品を購入することが当たり前だった人たちが、インターネットでの買い物の便利さに気付き始めています。そのため、日本製品を買うためにわざわざ日本に来るという動きが減少してきました。

欲しい商品があれば日本観光後にオンラインサイト上で購入して、気に入れば同じサイトでリピート購入するという動きに変化しています。それにより、日本の製品をオンライン上で購入する人が増え、中国国内の消費者はますます増えているのです。

この「オンライン上で日本製を購入する」という行動はおさまる気配はなく、今後も安定したカスタマーフローとして続くとみてよいでしょう。中国の越境EC市場に参入することはチャンスといえます。

越境EC構築から運用までの具体的な流れは?

中国のEC市場で日本商品を販売するとなると、最初から大きなコストをかけるのではなくリスクを最小限に抑えて販売を開始し、段階的に進めていくことが理想です。

構築から運用の流れとしては以下の通りです。

Step.1 商材決定
Step.2 販売する場所を決める
Step.3 配送キャリアの準備
Step.4 ページ作成・決済申込
Step.5 販売開始

企業や個人に関わらず、まず決めなければいけないのが、「販売する商材」と「販売場所」です。

①商材決定

中国のECサイトで日本製品を検索している消費者は、品質の高い商品を求めています。日本の商品のは「品質の良さ」と「安心安全」のイメージがあり、中国人の中で評価が高く大変人気です。

下記のグラフは、中国人が実際に越境ECで購入した日本商品および今後購入したい日本商品をアンケート調査したものです。

参照:平成 29 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

このように、第1位「化粧品」第 2 位「日用品」第 3 位「食品」の順に高く、ECで実際に購入した日本商品と今後購入したい日本商品は同じでした。

商品選定をもっと詳しく行っていくには「中国で販売できる商品なのか」「関税を含めて利益はでるのか」など関税や配送、中国でのルールも知る必要があります。

②販売場所を決定する

次にどの場所(サイト)で販売するかを決めていきます。

越境ECをはじめるには、大きく分けて4つのパターンがあります。

パターン メリット デメリット
①中国で自社サイトを開設する
⇒中国のサーバーを借りて、ページ作成を行う
中国の購入者視点で見ると、中国の会社と同じように見える すべて中国基準になるため、集客が難しい。ICPライセンスの取得などコストと時間がかかる
②中国ECモールに出店する 集客が簡単にできる 手数料等がかかる。すべて中国語での対応になる
③日本国内に自社サイトを開設する
⇒中国の方向けの自社サイトを日本国内で作る
モールに依存することがないし、資産になる 集客ができるまでに時間がかかる
④日本国内の中国対応のECモールに出店する
⇒楽天市場の海外販売など
中国語での申し込み等が不要、集客に関してもモール側が行う 手数料などがかかる

それぞれにメリットデメリットがあるので、比較検討して販売する場所を決定していきましょう。
②と③については後ほど具体的にお伝えします。

Step.3〜Step.4の「配送キャリアの準備」や「ページ作成/決済申込」は、それぞれの販売場所によってことなりますが、販売開始までに決定しなくてはいけない重要な流れになります。

中国EC市場の2大モールについて

中国EC市場は、天猫(Tmall)とJD(京東商城)の二大モールが80%を占めており、約60%がTmall、約20%がJDとなっています。

そこまで集客力のあるモールなら、日本の商品をすぐにでも販売したいところですが、どちらのモールも中国に法人を持っていない会社は出店をすることができません。

そのため、中国に法人をもっていない場合は「越境EC専門のECモール」に出店をする必要があります。「Tmall Global(天猫国際)」「JD.worldwide(京東全球購)」この2つの越境ECカテゴリーには、中国に法人を作らなくても出店・販売することが可能です。

天猫(Tmall)は市場シェア1位

Tmalのモールモデルは、店舗に場所を貸す(日本でいうと楽天型)のモデルで、中国の越境EC市場では「Tmall Global(天猫国際)」の1人勝ちという状態です。

ただし、近年のTmall Globalは現地側のニーズなどに照らしあわせて出店規制を設けているため、モールの出店基準がきびしく出店が難しいケースも出てきています。

すでに様々な商品が販売されていて競争が激しいモールでもありますが、越境EC市場はまだまだチャンスがあります。

京東商城(JD.com)は天猫を猛追中

JDのモールモデルは、店舗に場所を貸すだけではなく自社で仕入れを行う(日本でいうとアマゾン型)のモデルです。

天猫国際に比べると売上規模は小さいけれど、自社物流システムを利用しているので配送スピードが速く、デリバリーに対する顧客の満足度を追求しています。

日本企業の越境EC誘致に力を入れているので、審査が通りやすくなっており、数年後の成長を期待する日本企業の参入が急増しています。

中国のECモールを使うメリット・デメリット

アリババなどのECモールを使うと売り上げを上げることが期待できますが、モールで出店する場合は、それぞれにメリット・デメリットがあるのでご紹介します。

ECモールを使うメリット

メリットは、

  • 中国で必要な電子商取引を行うためのICPライセンスを取得しなくて済む
  • モールのブランド力で集客や信頼構築などが簡単に行える

ICPライセンスの取得(初期費用+保証金で数百万円程度)にはある程度の時間とコスト(初期費用+保証金で数百万円程度)がかかってしまいますが、モールに出店する際にはICPライセンスが必要ないため、進出コスト/リードタイムが比較的小さく済みます。

中国のECモールを使うデメリット

一方デメリットは、

  • モールに対して売上の決済手数料を払わなければならない
  • ルール変更などで商品が取り扱えなくなる場合がある

モールに出店するには手数料が必要なので自社サイトなどに比べると相対的に利益率が悪くなってしまいます。また、モールに依存してしまうため、モールでのルール変更があると従わなくてはいけません。

今まで利益が出せていた商品も販売停止になったり、違反などがあると販売停止になってしまう恐れもあります。

自社ECのメリット・デメリット

自社ECとは、中国向けに自社でECサイトを構築することです。メリット・デメリットについてそれぞれお伝えしていきます。

自社ECを使うメリット

  • 顧客データベースの情報が蓄積できマーケティングの施策が行いやすい
  • 出店料や決算手数料が不要

自社ECではモールに依存していないためサイト自体が資産となり、顧客データ情報の蓄積などができるため、マーケティングがしやすくなります。

また、モール出店時に発生する決済手数料が不要なので、利益率が高くなることもメリットのひとつです。

自社ECを使うデメリット

  • 特殊なライセンス(ICPライセンス)の取得が必要
  • 集客のハードルが高い

中国でサイトを持つには、電子商取引を行うためのライセンスが必要になります。ICPライセンスを取得するためには多額の初期投資と取得までに時間がかかるため、スタートダッシュが遅くなってしまいます。また、モール型と比べると集客力がないため、広告費がかかる場合があります。

ただし、近年では越境ECの知識や実績が豊富なECサイト制作会社も増えているので、専門の代行会社に依頼することで、自分で制作するのは難しくても簡単にサイト構築が可能になっています。

中国の越境EC市場の特徴と運用のコツ

中国の越境EC市場で成功させるためにおさえたい3つのポイントをお伝えします。

中国ならではの運用の特徴やコツを知り、今後の販路拡大に役立ててください。

中国はモバイル決済が主流

中国人は日常消費でモバイル決済の利用が多く、オンラインでの商品決済時はモバイル決済が主流となっています。中国では日本のようにクレジットカードが普及していないので、モバイル決済への対応が必須といえます。

引用:中国のモバイル決済取引額の推移

中国におけるモバイル決済サービスは、アリババグループが提供している「アリペイ」や、「テンセント」「ウィーチャットペイ」などが代表的です。このモバイル決済の利用促進策が、中国EC市場の拡大にもつながっているのです。

「独身の日」などの大型セールを逃さない

もしモールで販売をするなら、天猫(アリババ)が主導する「11/11」や、JD(京東商城)が主導する「6/18」などの大型セールは逃さないようにするべきです。

特に、毎年11月11日に開催される「独身の日」は、天猫(アリババ)の売り上げが大きく伸びる日です。この「独身の日」は、毎年恒例のネット通販大型セールが行われ、越境EC(中国への輸入)の売り上げが大きく伸びることが知られています。

天猫(アリババ)の取扱高は約4.16兆円ですで、2019年の独身の日には、天猫(アリババ)では64秒で1,000億円超の売上を達成し、昨年比で26%の成長を遂げています。2018年から2019年の成長率は125%という結果でした。

ちなにに、人気輸入国ランキングのトップ3は、日本、米国、韓国の順で、日本製品が人気です。

このように、独身の日の巨大な売上高は年々拡大しているため、このセール期間は越境EC(モール型)へ参入をするなら、逃してはいけない絶好の機会とも言えるでしょう。

インフルエンサーマーケティングが活発

近年の中国では、SNSやライブ配信アプリなどを活用したインフルエンサーマーケティングが活発に行われている点も特徴のひとつです。インフルエンサーとは特定の分野において影響力と情報発信力の強い人物を意味しています。

中国のインフルエンサーは「網紅(ワンホン)」や「KOL(Key Opinion Leader)」などと呼ばれています。なかには、1回のライブ配信で数億円を売り上げるインフルエンサーも存在し、マーケティング施策として大変有効です。

中国版TwitterのWeiboや、チャットアプリのWeChatを利用して情報を発信することで、売り上げを作ることも可能です。

中国への越境ECの成功事例:「キリン堂」

関西を中心とするドラッグストアチェーンのキリン堂は、2014年3月に「天猫国際」に出店しました。他社の成功事例もほとんどない状況で、日本企業では初進出しましたが、結果として大成功しています。

売り上げアップするための具体的な施策とは

具体的な施策は、「杭州の保税区の倉庫に商品を入れた」ことです。EMS配送料などの経費を抑えることができ、利益を確保することに成功しています。

また、保税区に商品を入れると「天猫国際」内の共同購入の枠に商品を掲載してもらえるので、商品購入者が増え、売り上げが大きくアップします。

天猫国際最大のセール日「独身の日」には、ノンシリコンシャンプー「レヴール」という商品を倉庫に入れて仕掛けていました。

中国でノンシリコンシャンプーの文化がくるかもしれないという流れもあり、11月の「独身の日」に勝負をかけた結果、7万5000本も売れました。

これは、日本のキリン堂300店舗で約3カ月分の売り上げが1日で取れた計算です。

さらに、翌年の2015年の11月11日中国EC最大のセール「独身の日」では、4億5000万円の売上げをあげ、天猫国際に出店している日本企業で第1位の売上げを達成しています。

参考:http://eczine.jp/article/detail/2503

中国の商習慣に合わせて体制を構築したことなども売上に繋がったはずですが、いち早く越境ECに目を付け、中国市場に進出したからこその結果と言えます。

最後に

中国の越境EC市場は非常に伸び代があり、盛り上がりをみせています。

しかし、実際に中国で越境ECを行うとなると、日本とは異なるEC市場や中国で需要のあるカテゴリを探すことなど、考慮すべきことが様々あります。

今回お伝えした中国EC市場の特徴や越境ECの始め方などを参考にして、あなたのビジネス拡大に役立ててみてください。

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